創寫舘 半田スタジオ

着物にはサイズがない?!

こんにちは!半田スタジオ美容スタッフの福本です♪
いつもならお盆の時には夏祭りや花火大会で浴衣の話題が出るころなのですが、今年はそうはいかないですね。
私は去年から習っている和裁教室で、友人とお揃いで浴衣を今年の夏に向けて誂えたのですが…
花火大会もないしイベントもないし、まぁお家で浴衣パーティーしようかなって結論に至りました。

 
ところで、浴衣などの着物類ってサイズがないって思っていませんか?
これ、大間違いです!!
誰が言いふらしたか知りませんが、本っっっ当に困ります。
皆様が一番馴染みのある浴衣も、反物から仕立てる場合は採寸します。
出来上がったものでも、S・M・Lのサイズ展開をしているメーカーもあります。
では、なぜこんな間違った知識がまかり通っているのでしょうか?
 
 
1.ボタンやファスナーではなく、紐で着るから
着物は、洋服と違ってボタンやファスナーではなく紐で着付けます。
そのため、多少の体型変化には対応できます。
この「多少」に尾ひれがついて、「サイズがない」になってしまったのでしょう。
確かに対応できますよ。しかし!しかし!
そこで重要になるのが、「着付けの技術」なんです。
技術の乏しい方が着付けると、言葉を選ばず正直に言えば「太って見える」という女性にとっては最悪の事態になります…

 

2.着物は作り直せるから
いきなりですが問題です。
私は今年、私(身長158cm・ふつう型)と友人(身長152cm・3Lサイズ)の2枚分浴衣を縫いました。
(今いくよくるよ師匠を思い描いていただけると分かりやすいですね)
同じ反物を使って縫ったのですが、どちら方が布が必要だったでしょうか?
 

    答え:私

 
え?!何で?!
と思った方、洋裁の教養がある方ですね。その反応合っています。私もびっくりしました。
服って色んなパーツを縫い合わせて出来ています。それは洋服も着物も一緒です。
しかし、大きく違うのが「パターン(型紙)」と「縫い代」。
着物には型紙がありません。全て直線で布を裁ちます。
反物の幅は38cm位と決まっているので、ふくよかな方は幅いっぱい使って・瘦せている方は縫い代を多く取って縫います。
ということは、反物には太ってる痩せてるは関係ない!もちろん限度はありますが!
身長によって身丈(着物の縦の長さ)が変わるので、単純に身長の高い私の方が布が必要だったわけです。
更に、洋服は縫い代を1cmに切り揃えてしまいますが、着物は切らずに脇や衿の中にしまい込みます。
なので、着物をほどくと長方形の布のパーツに戻ります。
…という事は、私の浴衣を友人に着せたい場合は縫い直せば着れちゃうわけです。
洋服では出来ない事ですね、着物って本当に素晴らしいですね♪
 
3.着物に慣れてないから何がアウトなのか分からない
先日、ママが着ていた振袖をお持ちになった方がいました。
お嬢様にその振袖を着せたのですが、身長が5cm高かったため裄(腕の長さ)が足らず腕がニョッキリ!
スタッフは全員どうしたら美しく写真に残せるか必死にポーズを考えていましたが、お母様・お嬢様は全く気にしていませんでした…
着物は種類や好みによりますが、裄は手首のくるぶし~親指の第1関節あたりがベストです。
最近の若い方は、食の欧米化によって昔の方より手足が長くなっています。
「腕がニョッキリ現象」は本当に多くなっているので、着物で困っていることのベスト1と言っても過言ではありません。
そこで重要になるのが、「ポージング」です!
 
それらを踏まえて、サイズの合わない着物を着比べてみました。
これは母(身長150cm・やせ型)が誂えた着物を、私(身長158cm・ふつう型・腕長め)が着ています。

左がbefore、右がafter。全身を並べると一目瞭然!
着付け師とカメラマンの技術でこんなにも違うのか…!
afterの着丈が短いのは、小紋だからです。…にしても短かった(笑)

beforeの胸元のアップですが、見るからに残念…。
胸は垂れて見えるし、おはしより(帯の下にある着物の部分)もポッコリ出ているので太って見えます。
着付け直したafterでは、全体的にスッキリとしたスタイルになっていますが…

あ!手がニョッキリ!これではせっかくの着付けも台無しです…
何とかしてよ~カメラマ~ン!!
 
タラリラッタラ~♪
ポージング技術~

あら不思議!少し手の位置を変えただけで、手首が隠れちゃいました!
しかも最近気になっていた下腹のポッコリも隠れるという、何とも嬉しいオマケまで付いてきました!
さらにさらに!何かちょっと上品じゃないですか?育ちが良さそうじゃないですか?
ちゃんとした技術者が集まれば、私みたいな残念な人間も素敵に見えるんですねぇ…
心なしか、帯のおかめさんもニッコリしているように見えますね♪
 
 
そう思うと、「着物にはサイズがない」と言った真犯人は、意外にも着物の知識がある方なのかもしれません…
知識のある方が容易に行ってきたサイズ合わせを、私たちが間違った知識として言いふらしてしまっただけ。
着物は面倒・苦しい・お金がかかる…マイナスなイメージが沢山あります。
確かに慣れるまでは準備が面倒です・動きづらくて苦しいです・呉服屋さんに言われるがままお金を払ってしまいます。
しかし、着付けは慣れれば15分(浴衣なら5分でもイケる!)・友人とのランチもモリモリ食べられます・1枚の着物が縫い直すだけで何十年も何世代にも使えます。
着物って世界に誇れる、本当に素敵な芸術品。
それを身に纏う機会がある私たち日本人は、生まれながらにもの凄い幸運の持ち主なんですよ!
もっとたくさん着物を着て、人生をエンジョイしましょう!!